介護人材育成を通じた社会復帰支援 ー再犯防止への取り組みー
刑務所を出所した人4割が、5年以内に再び刑務所に戻り、特に、無職の場合の再犯率は有職者の3倍といわれています。
済生会では、障害者、高齢者、ホームレス、刑務所出所者等、地域での安定した生活を送るために様々な支援が必要な人たちへ、医療や福祉サービスを提供するだけでなく関係機関の協力を得ながら、様々な支援に取り組んでいます。(生活困窮者支援事業「なでしこプラン」)
山口地域ケアセンターでは、2015年から山口刑務所と「やまぐち再犯防止プロジェクト」を締結し、介護・福祉職場への就労を希望する受刑者への介護に関する資格「介護福祉士実務者研修」の取得と出所後の就労を支援しています。
今年度同研修の開講式が6月12日に行われ、全国の刑務所から受講を希望した受刑者8名を対象に、465時間の講義や演習などがはじまりました。研修の講師は、中村洋所長をはじめ総勢54人職員が担当しています。
20日には、社会保障制度等に関して2時間の講義を行い、済生会の炭谷理事長が済生会設立の歴史や目的と生活困窮者への支援事業などを紹介、「社会復帰の際には、ここで学んだ知識と資格を生かしてほしい。」と述べました。
2017年までは「介護職員初任者研修」を実施しており修了者は72人、また実務者研修では16名が修了しました。
研修が終わると元の刑務所へ戻りますが、出所後に就労を希望すれば、当センターが協力雇用主となって面接を行います。これまで2名採用、1名の内定が決定しています。
済生会では、このような就労をはじめとする刑余者等の社会復帰への支援に関わる課題等を検討するための組織として、「全国済生会刑余者等支援協議会」を2016年に設立、法務省や関係行政との連携強化や全国の済生会施設での支援への取り組みを推進しています。
今後も当センターは済生会の一施設として、山口刑務所や関係機関との連携により、刑務所出所者等の支援をとおして、引き続き再犯防止に必要な支援に取り組んでいきます。